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床下エアコン暖房運転停止後95時間後の室温
前回は住まいの断熱性能についてお話させていただきましたが、読まれた方や断熱性能に関心のある方の中には「断熱性能が高い家は本当に室温がキープできるの?」なんて疑問を持つこともあるかもしれません。断熱性能についてざっくり理解できても、実例がないとわかりにくいですよね。
そこで今回は、弊社モデルハウス「葉づつみの家」で実際の室温を測定し、断熱性能が住まいの快適性にどう影響を与えているか調査した結果を紹介します。
【今回検証したモデルハウス「葉づつみの家」はこちら!】
モデルハウスの性能について
モデルハウスのUA値は『0.32W/㎡.K C値は0.1c㎡/㎡』です。
ここでおさらいになりますが、UA値は住まいの断熱性能を数値で表したもので、数値が小さいほど断熱性能が高いことを意味しています。
高レベルの断熱性能を示す「断熱性能6」のUA値は0.46W/㎡.Kですから、モデルハウスの断熱性能は数値上非常に優れていることがわかりますね。
次に、C値は住まいの気密性能を示す数値です。数値が小さいほど隙間面積が少なく、気密性が高いことを表します。
「家全体の隙間面積÷延床面積」で求めることができるので、モデルハウスのC値0.1c㎡/㎡は髪の毛1本分の隙間が1㎡あたりに数本あるようなものとイメージしていただくと良いと思います。
つまり、モデルハウスは高断熱かつ高気密な住まいということですね。
では、別の視点で見てみましょう。
こちらも前回のブログに関連する話ですが、非常に優れた断熱性能を持つ住宅の基準として「HEAT20のG2基準」というものがあります。モデルハウスは「HEAT20のG2〜G3の間」です。
上記の表は、HEAT20の部分間歇暖房で暖房していない部屋の最低室温の目安になるものです。G2で概ね13度を下回らない、G3で概ね15度を下回らないとされています。
HEAT20という住まいの高断熱・高気密基準では、すべての部屋を常に暖めるのではなく、一部の部屋だけを暖める「部分間歇暖房」という方法が考えられています。
このとき、暖房していない部屋でも、結露したりカビが生えたりしないように、最低限の温度を保つ必要があります。
「HEAT20のG2〜G3の間」ということは、暖房していない部屋の最低室温が13度〜15度を下回らないものと考えてよいでしょう。
12/29の朝9時、モデルハウスの暖房を切る
ここからはモデルハウスの断熱性能がどれほどのものなのか、室温を測定した過程と結果になります。
まず、昨年暮れ12月29日午前9時にモデルハウスの運転を停止しました。
冬季休暇期間はモデルハウスも閉館していますが、室温データの機器は稼働して室温を測定し続けています。
人が生活をしていないので、内部発熱などの室温に影響を与えることは無い状況での測定になります。
それでは、モデルハウスの床下エアコンを運転停止させた後の室温を見てみましょう。
2023年12月29日午前9時に運転を停止してから、運転再開の2024年1月3日午前9時の24時間前の外気温と1階リビングと2階寝室の室温データです。
【①外気温】
↑スポット的に上昇しているのは、日射取得による気温の上昇です。太陽の光が差し込むことで室内の温度がこれだけ上昇するのです。
測定最終日の1月3日は日照時間がほとんどなく、寒さが厳しい一日となっています。
【②1階リビング】
↑日射による室温差はあるものの、外気温に比べ急激な室温の低下はありません。
【③2階寝室】
↑2階の寝室は1階リビングよりもやや室温が低いものの、外気温に大きく影響されず、室温をゆるやかに保っていることがわかります。
データから、何が言えるのか?分析してみましょう。
先ほど、モデルハウスの断熱性能は「HEAT20 G2とG3の間」と紹介しましたが、床下エアコン1台でこの性能だと約4日間経っても室温が14度を下回ることがありません。
HEAT20の性能を担保する、正しい断熱材の施工になります。
一方、HEAT20の基準となるUA値はただの設計値なので、設計値の性能を担保するには隙間なく断熱材を施工することがとても重要です。
上記の資料のとおり、断熱材の性能を100%発揮するには、断熱材の施工精度が非常に大事なことが分かりますね。
弊社は第三者機関に断熱材検査を受けていますが、工務店選びの際は構造見学会へ出かけて、断熱材の施工精度を確認しています。
これは断熱材によって、家の快適性が大きく変わることを認識しているからです。
断熱材の性能をフルに発揮して保温性の高い家づくりをすれば、約4日間経っても室温は14℃を下回ることがありません。
仮に、寒い冬に震災などで停電状態になったとしても、この室温であれば寒さを凌げるのでは無いでしょうか。