- 代表ブログ
墨付けと手刻み
今の家は殆どがプレカットと呼ばれる方法で構造材は加工されて現場に搬入される。
プレカットとは、専門の工場で加工される事です。
私が大工の修行時代には、プレカットなどは無くて
大工の棟梁が墨付けと呼ばれる作業で材木を一本一本
材料のねじれや曲がりを見て、使うところ決めていった。
200本近い材木一本一本に、墨汁で材木の継手を記していく。
立体的に頭を使う事が出来なければ出来ない大変な作業です。
棟梁が記した墨通りに、職人が正確に刻んでいくのです。
プレカットの進出で墨付けの技術は無くなった。
こんにちは。西東京市で自然素材の家造り、真柄工務店代表の眞柄です。
私が大工の修業時代は棟梁が墨をつけた柱の穴掘り専門だった。
私と同じ世代の大工さんもきっと同じ経験をしていると思います。
毎日毎日、作業場で柱のホゾが入る穴掘りをしていた。
柱の穴掘りが終わった材料を兄弟子達が、肝心な継手の加工をしていくのが通例で、
早く継手の加工をやりたいと思った。
継手の加工をやるには、まず切れ味が鋭い刃物を造れるようにならないと、
綺麗な継手の加工は出来ない。だから、毎日毎日刃物の研ぎ物をした。
職人と一緒に休憩などできずに、職人達の真横で研ぎ物をするのが日課だった。
東京で育った大工さんだと、40代以下で墨付けや刻み作業を出来る
大工さんは本当に少ないと思う。
もちろん今でもプレカットをしない工務店は東京でもあると思います。
技術の継承の意味で、素晴らしい事です。
加工の際に出る騒音や作業場の確保で、難しい問題もあるけど
是非取り組んでいきたいと思います。
私の所にも30代や20代の大工はいるけれど、中々教えることが出来ないでいました。
今回増築のある現場があり、丁度良いと思い先日教えましたが、2人共真剣に聞き
小さい増築でしたがとても良い経験が出来たのではないでしょうか。
プレカットが主流になって20年以上経ちますが、プレカットの加工精度はとても進歩していて
上棟時に組み上げても揺れも少なくなっています。
ただでさえ、大工さんが減少していく中で、技術の継承も
大事なテーマになってくると思います。
若い大工さん達の真剣な眼差しを見て、今後も墨付け、手刻みの機会を
増やしていきたいと思いました。
今年一年間有難うございました!
お陰様で沢山のお仕事をいただき、
沢山の素敵なご家族の家を造ることが出来て
感謝の念に堪えません。
来年度も既にお仕事を頂き、
更に飛躍の一年にしたいと思います。